2013年4月26日金曜日

おおきなはこ(昔の話)

ぼくが幼稚園のときに父親がプレゼントをくれました。
とても大きな重い木の箱でした。

それは大工道具でした。

鉄でできた名前も知らない道具がぎっしり入っていました。

4歳ぐらいの僕に父親はひとつひとつの道具の名前と使い方を教えてくれました。

のこのひき方、
かんなの刃の出し方、かけ方、
のみの刃のあて方、
釘のうちかた、抜き方
とかとか

その中で僕がお気に入りだったのが、木の鞘に収まった木工用の小刀でした。

さむらいやにんじゃみたいだからだと思います。

ぼくはそれで竹とんぼを作ったり、鉛筆を削ったりしました。


そして小学校に入ったときお道具箱にはさみや、のりなどの
の他に、えんぴつを削る用のナイフとありましたので、
ぼくはその小刀を持っていきました。

授業でえんぴつを削る時、みんなはおもちゃみたいな色々ないろをした小さい折りたたみのナイフをもって来ていました。

ぼくははずかしく、すぐに母に言ってみんなと同じものを買ってもらったように思います。

昔から父親はぼくには物を作る道具、画材、自分で組み立てる模型やプラモデルしかくれなかったように思います。

普通、幼稚園児に刃渡り10cm以上の小刀はわたさないような気もします。


小学校低学年のとき模造紙に侍の鎧を実寸ぐらいで描くのがすきだったのですが、家の板間はけっこうがたがたでしたし、ご飯を食べるところはテーブルではなくコタツだったので、我が家には模造紙を広げて綺麗に描ける場所はありませんでした。

すると父親は玄関の前にある目隠し用の大きなミドリのアクリル板をはがしてくれて、それを下敷きに使いなさいと言いました。

ふむむ。


今思うと家のメンテナンス用に買ってきた大工道具を大工さんに憧れていた僕に渡しただけかもしれませんが、ちっこい僕はそれを自分へのプレゼントだと思ったようです。


普通はバットやボールを買ってくれるように思うのですが、そんなものは買ってきてくれませんでした。そのおかげで後々ぼくはなかなか苦労しました。


なんでか今度聞いてみようと思います。